農薬を減らし健やかで安全な世界へ

合成化学農薬(以下、農薬)を使った農業は、特に第二次世界大戦後以降、世界中で拡大しました。農薬を使用すれば少しでも「手間のかからない農業」が可能になるとして、急速に広まったのです。

 

しかし、その広範囲にわたる使用によって、虫や鳥、さらには微生物叢にも大きな変化が現れ始めました。生物多様性が激減し、植物の受粉に欠かせないミツバチも急速に減って農業生産にも懸念が広がるなど、世界の生態系に重大な影響が出ています。そして近年では、子どもの発達や大人を含む慢性疾患の急増など、人間の健康にも影響が出始めていると考えられています。

 

このような事態を受けて、有機農業・アグロエコロジーはアジア、アフリカ、ラテンアメリカで急速に広まり、その担い手はこの20年間で15倍以上に増えています。また、国連などの国際組織も2013年に農薬に頼らないアグロエコロジーの推進を決めました。さらに米国ではグリーン・ニューディール政策、EUでもグリーンディール政策「Farm to Fork (農場から食卓まで)戦略」が打ち出され、環境を守る農業へと大きく舵が切られています。それらを受けて、2021年、日本でも、2050年までに農地の25%を有機農業にする「みどりの食料システム戦略」が発表されました。農薬を減らすことは今、世界の共通課題となっているのです。

 

しかし、一方では日本の農薬規制緩和が止まらず、農薬使用量は増加の一途をたどっており、農薬残留量の高さゆえに日本産の農産物が輸出できなくなる事態まで起きています。

 

わたしたちは、生態系、そして人びとの健康、地域の農業を守るためにも、可能な限り、農薬に頼らない日本の食のあり方をめざす必要があると考え、まず、わたしたちの体内に入った農薬を調べるデトックス・プロジェクトを2019年5月に始めました。そして、これまでの検査から、農薬がわたしたちの体内だけでなく、生活のすみずみまで広がっている実態がわかってきました。

 

わたしたちは農民、市民、消費者、生協などによるさまざまな団体・個人からなり、市民が横につながる共同プロジェクトとして、このデトックス・プロジェクトを運営しています。これからも、生産者団体、市民団体、地方自治体、国の関係者などと協議を続けながら、危険性の高い農薬の使用を具体的に減らしていくことにより、より健やかで安全な世界をめざしたいと考えます。

私たちの取り組み

私たちは次のことにとり組んでいます。

 

 ・ 体内のネオニコチノイド系農薬やグリホサートの残留農薬の計測

 ・ 食品や水など、生活環境中の残留農薬の計測

 ・ 生活を取り巻く農薬の現状を知らせていくこと

 ・ 農薬を減らすための研究、学習会活動

 ・ 2021年末から開始した政府による農薬再評価への提言活動

 ・ 地方自治体での農薬規制に向けた提言活動

設立の経緯

2018年12月14日、ここ数年急激に日本の食の安全安心が脅かされていることを危惧し活動してきた団体や個人が急きょ集まり、アメリカで遺伝子組み換え食品や農薬から子どもたちを守るための活動を成功させている全米母親団体「Moms Across America」のZen Honeycutt(ゼン ハニーカット)さんの来日に合わせて講演会を開催しました。

講演会終了後、多くの参加者から Zen さんたちの活動のベースとなった農薬(グリホサート)検査を日本の子どもたちにもぜひ実施したいという声が寄せられました。

 

WHO の下部組織である IARC(国際がん研究機関)が、毒性や発ガン性の懸念があると発表しているグリホサートについては既に海外の様々な国で使用禁止や規制強化に動いているのに逆行し、日本では 2017 年 12 月に規制が緩和され、例えば子どもたちが給食などで日常的に口にするパンや麺類の原料である小麦粉に関しては残留基準値が 6 倍に緩和されています。

 

そこで、Zenさんの講演会を主催した有志メンバーが再び集まり、日本人の身体にグリホサートがどのくらい蓄積しているのか、私たちがどのくらい農薬を摂取しているのか、を広く一般の皆さんを対象に検査し、結果を公表するプロジェクトとして「デトックス・プロジェクト・ジャパン」を2019年5月21日に立ち上げました。

発足前の同年3月に国会議員23名を含む28名による予備調査の検査をフランスの検査機関に委託。その結果は8月8日に記者会見で発表しています。(国会議員による予備調査についてはこちら

 

今後も一般向けの検査を進め、その結果をもってグリホサートの収穫前散布、公園、学校、道路など公共の場での散布の禁止、一般販売の規制など、グリホサートの削減をめざしていきたいと考えています。

 

ご支援、ご協力をお願いします

わたしたちの活動は市民のみなさまからの寄付によって支えられております。

ぜひ、みなさまのご支援とご参加をどうぞよろしくお願いいたします。

 

  • ゆうちょ銀行口座名:デトックスプロジェクトジャパン
  • 記号:10950 番号:31046321

共同代表:天笠啓祐、印鑰智哉、安田節子、山田正彦(50音順)

顧問:木村-黒田純子環境脳神経科学情報センター副代表・医学博士

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